社会保険労務士事務所の開設

社会保険労務士の試験に合格をして、個人で社会保険労務士事務所を開設する時は、厚生労働大臣の許可が必要で、成立後2週間以内に都道府県社会保険労務士会を通じて全国社会保険労務士会連合会の名簿に登録しなければなりません。また、事務所の定款には、最低限、目的、名称、事務所の所在地、社員の氏名及び住所(法人)、社員の出資に関する事項(法人)、業務の執行に関する事項(法人)を記載する必要があります。

ここで、社員の氏名及び住所や社員の出資に関する事項とあるのは、社会保険労務士が共同で出資し合い、業務を組織的に行い、効率化を図るために設けられる法人で、法人である旨の掲示を行い、互いに無限の責任を負うことが義務付けられているのです。法人登録をすると、個別に事務所を開設することはできません。また、社員が2人以上でなくなれば、6ヶ月以内に法人を解散する必要があります。

社会保険労務士事務所の登録には、実務を2年以上経験していることが必要です。それを証明する書類を用意して連合会に提出することによって、社会保険労務士に登録されるのです。実務経験が不足している場合については、連合会による通信教育を4カ月間受け、決められた都市で行われる4日の面接講習を受けることで実務経験の代わりとすることができます。

 

社会保険労務士事務所の多角化

社会保険労務士としての業務だけで社会保険労務士事務所を開設していても扱うことのできない業務が付随してきたりして、業務の停滞が生じることも増えてきています。そのため業務範囲を拡大し、多角化を目指す事務所も現れてきました。

具体的には、税理士、中小企業診断士、行政書士といった士業資格を取得して業務拡大を行ったり、住宅ローンをコンサルティングするモーゲージプランナー資格や確定拠出年金及び年金制度の専門家としての制度普及と運営管理を行うDCプランナーやDCアドバイザー資格、それに個人から、収支・負債・家族構成・資産状況などから将来のプランニングをするファイナンシャル・プランナー資格を併せ持ち、年金や資産運用をするコンサルタント業にまで拡大させている社会保険労務士事務所などです。

こうすることにより、職域が広がり企業が持つ数多くの相談に幅広く対応でき、個人に関しても財産管理を行ったり、将来の生活設計を提案することも可能となるのです。社会保険労務士事務所である以上、帳簿を備付け、こと細かに事件簿の整理が必要で、業務に携わる前に報酬額の算定の方法その他の報酬の基準を相手方に示さなくてはならない義務があります。また、社会保険労務士としての職務は有資格者が行わなければなりませんが、他の資格業務のために事務員等を雇用して対応しているようです。

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社会保険労務士事務所の役割

社会保険労務士事務所を開設したら、企業や個人からの依頼による、従業員その他に対する業務で社会保険労務士としての範囲内で、各種手続きや事務処理を行ったりします。社会保険労務士の業務に対応している監督官庁は、主に厚生労働省管轄の労働基準監督署やハローワーク、年金事務所などです。

具体的な業務としては、人事雇用等の労務に関する相談や指導と、それに伴う給与計算を行ったり、企業で働く人の業務時や通勤時における労働災害の申請や給付に関する諸手続き、更に社会保険における私的な傷病、出産、死亡等にかかわる申請などの事務手続きも行います。これらの各種保険制度に対して、算定基準を作ったり届出作業も行うのです。また、企業内の労働者名簿や賃金台帳などといった法定帳簿の調製や就業規則等の作成を行ったり改訂したりする業務にも携わります。その他社員教育や労働安全衛生に関する相談と指導を行い、より良い企業を構築するためにメンタル面からも指導をするのです。

個人の依頼に関しては、各種年金に伴う相談と老齢、障害年金の申請、離婚時分割の給付代行をし、医療保険各法や介護保険法等に基づく相談や傷病手当金、要介護認定などの申請代行、個人で作成した申請書等の審査や助言も行います。特定社会保険労務士としての資格業務で、労使交渉等の紛争代理の相談や代理人としての業務を行うことはできますが、労働争議時の団体交渉においては代理にとなることはできません。

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